「タイガースの歴代の中で1番ヒットを打っている。そういう選手が(こういう状況で)やってる姿っていうのはみんな感じるものは絶対にあると思うから。それはありがたいっていうか、助かる」
要するに鳥谷の経験、野球に対するひたむきな姿勢などは試合の直接的な数字には表れないけれども、若い選手中心のチームには有形無形でさまざまな好影響を及ぼしている。なので後半戦もこのまま1軍戦力として巻き返しを期待している-という“決断”なのです。
鳥谷は今季で5年契約が切れます。年俸4億円ですから、この5年で総額20億円。鳥谷自身は昨オフの契約更改終了後に「このまま野球人生を続けられるのか。辞めなきゃいけないのか…」を決めるシーズンだと今季を定めていました。現状の成績を見れば針はどちらに振れているか…は一目瞭然です。ただ、結論を急がず、あくまでも鳥谷自身に最後の最後まで1軍のグラウンドで野球に正面から取り組ませる、という矢野監督の決断はさまざまな意味で正解かもしれません。
過去の阪神の歴史を振り返るとき、スター選手が出番がなくなったり、衰えが隠せなくなると球団や首脳陣との間に確執が生まれ「晩節を汚す」ケースが散見されました。取材をしていて何度もスター選手たちの傲慢さにあきれたものです。
翻って、鳥谷は出番が少なくなっても地道に練習に励み、他人に責任転嫁することもなく、野球と正面から向き合っています。今、控え選手として見つめる野球は今後の指導者としての人生に大いにプラスになるでしょう。将来の阪神監督を期待される選手です。ベンチで控え要員として過ごす日々は将来、人を導くときにムダにはならない肥やしになるはずです。
鳥谷の後ろ姿を見る若手選手たちにも大いに勉強になります。なので、たとえ1軍の戦力的価値が薄れたとしても、そのまま1軍に置いて勝負させることは悪くはない選択でしょうね。・・・・・
一方で矢野監督には選択を迫られる問題もあります。早急に…。それはポスト鳥谷の選定です。
(中略)
阪神は73試合消化時点でチーム失策数は66。リーグワーストです。というか12球団でも断トツの失策数ですね。投手力がウリのチームが守乱ではどうしようもないでしょう。
複数の阪神OBに「現状でポスト鳥谷は誰?」と聞いて、もっとも人気指数の高い名前は植田海です。今季は38試合に出場し、打率4割5分5厘で1本塁打、2打点ですが、OBたちが「買う」最大の理由は守備力です。
木浪や北條に比べても守備範囲が広く、フィールディングも懐が深くてスローイングも問題ありません。彼はまだ23歳。もし、遊撃のポジションを奪えば7~8年は問題ないはずですね。
「打撃もスイッチヒッターを止めて、本来の右打ちにこだわるべき。足が速いという理由だけで左打ちに挑戦しているがどう見ても苦しい。右打ちだけに戻して勝負すればもっと植田海の良さが出る」と話す阪神OBがいます。
さあ、矢野監督の決断はどうでしょうか。鳥谷の処遇を先送りした人事は正解でしょうが、こちらは待ったなし。7月~8月戦線への重要な人事になりませんか。・・・・・
どちらにせよ投手の枠を圧迫してる今、遊撃手四名ってかなり偏った編成だからね。。。